7年振りの再会

振り返ってみると、独立してアトリエを立ち上げてから、もう10年以上経っていました。早いですねぇ。

そして昨年あたりから、お嫁にいった手帳カバー達が、里帰りするようになりました。つまり、お直しのご依頼です。
また、まだまだお使い頂ける、という事でもあります。
これはもう、職人冥利に尽きます!

オーナー様の思い入れが盛り込まれた個性的なものも多く、愛情一杯に育てられ、
とてもいい表情になって帰ってくるカバー達。
糸のほつれや、付属などのお取り替えなど、ご要望は様々ですが、この先も長く可愛がってもらえるように、しっかりお直しさせていただいております。

今回はその中の一つで、とても印象に残っているカバーをご紹介。

QV.E-F.W.1

こちらは、7年前にF.W.様からのセミオーダーでお作りしたカバー。
KiUオリジナルのQuovadis Executiveカバーの仕様はそのままで、フラップをつけ、リスシオのナポリとブラックのバイカラーにしたいとのご依頼でした。

フラップの形の図面を自ら書き起こして下さったF.W.様の強いこだわりを感じ、腕まくりをしたのを覚えています。

そして、7年振りに再会したカバーがこちら。(画像が暗くなっちゃいましたが)

F.W.様カバー修正前1

なんとも良い色に焼け、ツヤツヤに。
そして、長年F.W.様と共にお仕事をされてきた味のある傷。
実にいい表情です。

スケジュール管理はスマホに譲り渡したものの、メモとペンは手放せないとの事でしたので、仕様を変更し、内装の一部の革以外はそのままにする事にしました。

F.W.様修正後1

QuoVadis Executiveと同じサイズのノートだけ収納出来ればよくなったので、RHODIA収納ポケットは、思い切って取り外し新しい革に。
ペンホルダーもクリップ部分を引っかけるタイプにして、シンプルでコンパクトになりました。
せっかくなので、メッキの接がれたホックも新しいものに取り替えました。

そうそう、糸もナポリイエローに合わせた金茶でしたね。
こちらも長年の働きで、ほつれそうな部分があったので全てほどき、同じ穴を拾うように、ひと目ひと目ミシンを手回ししながら縫い直しました。

そうして蘇ったのが、こちら。

F.W.様修正後4

せっかくの色ツヤは残したいので、汚れだけを拭き取りました。

F.W.様修正後6

7年の間に、私の腕も多少は上がっているので、コバも綺麗に磨き直しました。
これだけでも、随分印象が変わるるものですね。

また何年も使っていただけると思うと、私も頑張り続けるエネルギーが湧いてくるのでした。

 

 

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